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4.19ファンタジー・幻想小説を書く

あゆみはいまだかつて行ったことのない地への期待に胸を膨らませながら羽田空港行きの飛行機に乗った。小松空港から飛び立ち機体が安定すると、昨晩緊張と楽しみな気持ちで寝つけなかったせいかすぐに眠りについた。目を覚ますと窓から見える景色が立ち並んだビルに変わっていた。羽田空港では従妹のリナが迎えに来てくれていた。

あゆみの初めて一人で飛行機に乗り東京という日本の最先端の町へ行くことから緊張していたがそれはリナの姿を見ると同時にすっと消えていった。

あゆみは東京の観光名所に行くのではなく、リナが普段遊んでいるような場所に連れて行ってほしいと申し出た。

リナは浅草、スカイツリーのような場所に連れて行ってほしいとお願いされることを恐れていたがあゆみの言葉にほっとした。実は東京に住んでいるリナも浅草などの観光名所にはなかなか行く機会がないし、あまり行こうとも思わないのだ。その辺りのことは実はよく知らない。

早速二人は若者の街渋谷へと向かった。あゆみは電車の路線の多さ、人々の歩く速度の速さに驚きつつも東京にいる人の半分かあるいはそれ以上は上京してきた、自分と同じような人達だと考え直し自分もこの環境にこれから慣れていこうと思った。と同時に変わってしまうかもしれない自分への寂しさのようなものも感じていた。

リナが普段行くカフェやデパートなど都会にしかないようなものはあゆみにとっては全てが新鮮でキラキラして見えた。

リナも楽しそうなあゆみの様子をみて一安心し、さらに楽しい場所、おしゃれな場所に連れて行こうと意気込んだ。

その後表参道や恵比須、新宿などを疲れを忘れて歩いた。

あゆみが部屋を借りた所はさっきまでの喧騒の街ではなく落ち着いた住宅街だった。

あゆみは東京の持つ二面性を見たような気がした。ベッドに入ってからこの先の東京での不安な生活やいつでも家族に会うことが出来なくなった寂しさを感じた。と、同時にリナのおかげで知った東京の楽しい生活と、これから出会う東京の計り知れない魅力に期待を膨らませているうちに眠りについた。

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