top of page

5.10 フェミニズムSF

自分が異性になったら

 

今でこそ、女である私は女に生まれてよかった。と心から思っている。でもそれは、1880年代から1920年頃、初期の女性運動(婦人参政権運動など)や、1960年代末の女性解放運動、女性権利運動などによって、女性が社会で活躍する場、自由を手に入れられたことも大きいと思う。現代を生きている私からすると、今よりも男女平等ではない世の中は想像できない。

 もし自分が1880年代にタイムスリップして男として生まれたらどうだろうか。女性は差別され、学があっても社会で活躍することは難しく、参政権もない。裕福な家庭に生まれ、裕福な家庭に嫁ぎ子供を育てるのが女としての最高の幸せなのか。もちろんこれは今の世の中でも幸せなことだが、自己の幸せのための選択肢が昔のほうがはるかに少ないと思う。なので、この時代だったら男に生まれたいと思う。男尊女卑の世の中で女性よりも社会に出ていくこと、活躍することが容易であり、妻のことも自分の思うようにできる。自分の欲望のまま、自分勝手な生き方が出来るかもしれないからだ。

 もし現代で自分が男になったらどうだろうか。一般的に、結婚したら男性が稼ぎ、女性が家庭を守る。もちろん家族の形態は家庭によって様々だが、何となく家事育児は女がやる、という認識が強い。ここだけを見ると女の負担が多いように感じられるが、実際会社に行ってバリバリ仕事をし、上司に誘われたらついて行ったりする男も経済的な負担や家庭を守る責任は大きい。デートに行っても多く払うのは大方男だ。このように、女も男も何かしらの負担がかかっている。もちろん私が男になったら、今まで自分が男性にされたことを行う。“レディーファースト”と呼ばれる素敵な行為(車道側を歩く、ドアを開ける、会計はスマートに済ませる等)を女性に対して行い、急にプレゼントを贈ったり、ドライブに行ったりして、相手を喜ばせたいと思うだろう。このように男性は女性と交際、結婚するために尽くす。ここで尽くされることに女性は喜びを感じ、お礼に別の方法で男性に尽くしたいと思うのだろう。そして尽くすことにも幸せを感じる。現代には様々な夫婦の形があるので一概には言えないが、わたしはこのふたつのどちらに幸せを感じるかというと、断然女性だ。1週間だけなら男になっても、キャバクラにいったり、女の子と遊んで楽しいかもしれないが、それに飽きてしまったらもう女性に戻って生きていくほうにわたしは幸せ、生きがいを感じる。

bottom of page